地震と家の構造

1 地盤と基礎

●事前の地盤調査は必須
欠陥住宅といわれる原因のの一つに不同沈下がある。住宅を建てるときは、事前に地盤調査を行い、地盤に合った改良工事を行わなければならないが、これを怠った場合、沈下などの問題が発生しやすい。
不同沈下とは、地盤に建物が沈みこんでいくとき、均等に沈下しない現象を指す。品質確保促進法(品確法)では、基礎についての規定はないが、住宅の設計施工を行うときには地盤の状況を知った上で設計を行うことが前提になっているため、不同沈下が起きた場合は品確法の対象となる。
では、どの程度不同沈下が起こると瑕疵として認められるのか。基礎などのコンクリートの場合、0.5mm以上のクラックやひび割れが見つかったとき。また、床の傾きが5/1000以上のときも瑕疵が認められる。

●ベタ基礎の地固めはしっかりと
住宅の基礎には、布基礎とベタ基礎がある。布基礎は、建物の外周壁や内壁の下にひっくい壁状のコンクリート基礎を連続して設けたもので建物の荷重を線で受ける。ベタ基礎は建物の底全体に一定の厚みのコンクリート板を敷き詰めたもので、荷重を面で受け止める。ベタ基礎は軟弱地盤に強いとされるが、基礎そのものが重くなるため不同沈下を招くこともある。事前に地盤をしっかり突き固める必要がある。

2 木造住宅の耐震性アップのポイント

木造建築の耐震性を上げるにはさまざまな方法があるが、一部に耐震補強を行えばよいというものではなく、いろいろな方法を組み合わせて総合的に施すことが大切だ。

●構造材には乾燥した木を使う
構造材には、よく乾燥した木材を使うこと。構造材には、JAS規格で決められている「乾燥材」(水分含有率25%以下)を使うのがよいとされている。木材は、乾燥度合いが高ければ高いほど強度が増すが、木材に水分が多いとカビが発生して、それを栄養源にする腐朽菌が繁殖し強度を低下させるので注意しよう。

●金物で耐震・耐久建物に
補強金物や構造金物などの金物類は、柱や梁、土台、筋違などの接合部に使われるが、きちんと使えば木造の耐震性や耐久性を向上させることができる。補強金物は、木材に接合加工を施した仕口や継手が外力を受けたときにはずれないよう補強するために使われる。構造金物は、仕口や継手の加工をしないで、部材同士を結合するために使われる。
構造金物で最も使われるのがアンカーボルトで、基礎に埋め込んで土台と基礎を結合する。羽子板ボルトは、梁と桁(けた)などが直交する水平構造部材をつなぐもの。木材の収縮や振動などでナットが緩むことがあるが、これを防止するためにナットにスプリングを仕込んで木材が痩せても結合する力が弱くならないように工夫したものがある。
筋違金物は、筋違の端に取り付けて柱や土台、梁を結合するもので、筋違金物の使用によって構造体の強度低下を防ぐことができる。ボールダウン金物は、柱と基礎を直接結合する金物で、地震の縦揺れのときに土台や構造体が基礎から浮き上がったりずれるのを防ぐ効果がある。

●床の面剛性を高める
「剛性」とは部材の強度のことだが、床の面剛性が高ければ外力を受けても力を耐力壁に効率よく均等に伝えることができるので、耐震性が向上する。
床の面剛性を高める方法として最も使われるのは、構造用合板を床全体に敷き詰める方法だ。また、24mm以上ある厚い構造用合板を根太なしで張る「ネダレス工法」と呼ばれるものもある。いずれも、構造用合板は梁の上に渡した根太に張るのではなく、梁と上面を揃えるように梁を彫りこんで根太を取り付け、合板が受けた力が直接梁に伝わるようにしなければならない。

3 制震構造と免震構造

●2次被害を防ぐ制震&免震
制震や免震といった耐震構造の方法が話題になることが多くなったが、どのような効果があるのだろうか。最大の利点は、地震時に2次被害を防ぐこにある。建物が大きく揺れれば、家具や電化製品が飛び散り、命が危険にさらされることもある。建物に被害がなくても地震後の生活に支障をきたす。耐震設計だけでは、この2次被害を防ぐのはむずかしいとされ、制震や免震は建物そのものの揺れを少なくしてくれるため2次被害が起きにくいのである。

●地震エネルギーを吸収する安全装置
制震構造は、地震などの大きな外力が建物に加わったとき、構造体内部に組み込まれたエネルギー吸収装置が、地震エネルギーを分散・吸収し構造体に損傷を与えないようにするものだ。例えば、構造体の一部に自動車のショックアブソーバーのようなダンパーを組み込んで地震エネルギーを吸収する考え方や、外力が加わったときにエネルギーが一部に集中するよう構造設計を行い、その部分だけに損壊を起こさせてエネルギーを吸収する方法、地震のときの水平力と反対方向に構造体を振動させてエネルギーを消滅させるものなどがある。これらは、規模の大きい中高層の建物に採用されている。
免震構造は、地震による地盤の変動を建物に伝えにくくするもので、建物の基礎部分の下に滑り装置を付けて変動を逃がすしくみだ。この方法は、住宅など比較的小規模な構造体に向いている。免震構造には2つの方法がある。ひとつは「柔軟基礎構造」で、基礎と地盤の間に弾性の受けを設置して地盤の揺れを吸収する。もうひとつは、「機械的絶縁基礎」で、地盤の間にボールベアリングのような回転体を入れて揺れを逃がすものだ。ただ、免震構造は、地震の垂直の揺れにはほとんど効果がない。垂直の揺れを防ぐには、十分な耐震計算が必要だ。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)