わが家でできる「環境共生」

「環境共生」という言葉から受けるイメージは、とても大がかりなものだが、実際に家庭でできることも少なくない。家づくりの機会に、できるものから始めてみてはどうだろうか。

●雨水の利用

日本の年平均降水量は、1718mm。世界の平均降水量970mmの約2倍だ。雨の多い国といえる。しかし、人口が多いので、1人あたりに換算すると、この降水量も世界平均の4分の1程度まで下がってしまう。
最近の異常気象傾向によって、年によっては極端な小雨になったり、また、舗装化が進んだことで、雨水が地中に浸透せず、一気に川から海へと流れ込んでしまうという傾向も見過ごせない。
さらに、雨が多い国であることから、伝統的に日本人の水の使い方は贅沢だ。こうしたことから、それなりの降水量はあっても、水の管理や使い方には慎重な配慮が必要になっているといえる。
そこで考えたいのが雨水の再利用だ。これは複雑な設備がいらず、すぐに取り組める手軽さもある。
基本的には屋根から雨樋を伝わって地面に流される水を途中で貯水槽に溜め、濾過して使うもの。
用途は、トイレ、庭への水まきや洗車などだ。飲料水として利用するだけの水質は、家庭の濾過程度では確保できない。また、最近は酸性雨の問題から、トイレや洗濯への利用によって設備機器の耐久性を下げる可能性も指摘されている。散水や掃除用水としての利用にとどめた方が安心できるだろう。

●生ゴミ処理

ディスポーザー
ディスポーザーは、家庭で生ゴミを細かく粉砕して排水管に下水として流し出すもの。米国生まれの設備で、米国では普及率が50%を超えている。生ゴミをそのままシンクから流せば、機械が粉砕し排水として処理してくれるもので、非常にラク。しかしその反面、非常に細かいとはいえ、下水管に生ゴミが流れるので、堆積物ができたり、下水処理場の負担が増すなどの理由から、自治体によっては使用を禁じたり、自粛を求めるところもある。
マンションなどで、各家庭のディスポーザーからの排水を2次的に一括処理し、それを下水に流し込むものもあり、このタイプであれば、下水管や処理場への負担はない。

コンポスト化
家庭で出た生ゴミを、堆肥(コンポスト)にしてゴミを減らすのが、この方法。微生物の自然分解作用だけを利用する貯蔵型のコンポスターと、電気で撹拌して発酵を促進する電動型の2種類がある。貯蔵型は、数千円程度からあって手軽だが、自然分解のために数ヶ月放置する必要があるなど、時間がかかる。
反対に、電動型は、家庭用で1日あたり1kg程度の処理能力がある(家庭なら出される生ゴミの平均量は1kg程度)。

●風力発電

風力発電を行うためには、風速にして8~12m/秒の風がコンスタントに必要となり、装置さえあればどこでも発電できるというものではない。また、発電効率もそれほど高いものではなく、10m/秒の風で70~80wの発電量といったところだ。
住宅での利用は、門灯や庭園灯、あるいは補助電源用といったところにとどまり、メインの電源装置として考えることはできない。

●地中熱利用

地熱発電という大がかりな設備とは別に、地中の温度が一定であることを利用した冷暖房の補助設備がある。
地中が、冬暖かく夏涼しいことはよく知られている。実際、地表面から3mほどのところでは、地中の温度は年間を通して約15度で安定している(深さ5mになると完全に一定になる)。
そこで、この性質を利用。外気をいったん地中に埋めたパイプに通して室内に取り込めば、夏は地中で冷やされた外気が、冬は同じく地中で暖められた外気が室内に入ることになり、冷暖房の効率が上がる。
まだ住宅用設備として一般的になっていないが、複雑な機械を必要としないものであり、これからの普及に注目したい設備だ。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)