失敗しない住まい創り

求められる基本性能をチェック

家づくりを考えるとき、今、話題になっている住宅の基本性能がいくつかある。
それらをどう考えればいいか、ポイントをまとめておこう。

欠陥住宅

テレビ番組で話題になることが多い欠陥住宅。だが、そのほとんどが施工時にきちんとチェックしなかったために起こった事例。10年間の補償制度を活用して、対策を立てよう。

■10年間の補償がある

住み始めてみたら「家が傾いている」「風で家が大きく揺れる」「雨漏りがする」といった生活に支障をきたす重大な欠陥が見つかるケースがある。
テレビなどでも大きく報道されており、せっかく大金を払って建てた家がこうした欠陥住宅だったらと、不安に思う人は少なくない。
だが、2000年4月からは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が新たに施行され、新築住宅の基本構造部分については例外なく10年間の補償制度が設けられた。もちろん、被害を未然に防ぐには、しっかりした建築業者の選定や、家づくりへの積極的な関わりが求められる。

■地盤に起因する欠陥が大半

欠陥住宅の主な原因は、次の3つだ。
1 悪質な手抜き工事によるもの
(材料などを勝手に廉価なものにして、不当に利益を得ようとするもの)
2 構造計算が不十分だったり、施工がいい加減であるもの
3 地盤調査が不十分で、地盤改良や基礎の設計・施工に問題があるもの
1 2 は、建築業者の選定や工事過程のチェックで、大半は防げる。3 は、欠陥の原因の大半を占めるだけに、慎重に見極めたい。地盤調査はできるだけ実施して、詳細な報告を受けよう。

健康住宅

同じくテレビ番組で話題になるのがシックハウス症候群。新しい家に入居した後、気分がすぐれなかったり発疹が出たりする症状をいうが、建材や塗料などの選定に気をつければこうした症状を防ぐことができる。

■室内空気汚染に法規制

シックハウス症候群とは、新築住宅に入居後、目がチカチカしたり、頭痛、吐き気などの症状が出ること。建材や塗料の化学物質から発散するホルムアルデヒドなどが原因といわれる。
この対策として、2003年7月に建築基準法が改正され、室内空気の規制が厳しくなった。建材や塗料のホルムアルデヒドの発散に基準が定められ、24時間運転する機械換気も義務づけられた。建材・塗料メーカーでは、低ホルムアルデヒドタイプへの代替が急速に進んでいる。ある程度安心できる環境が整ったので、新築住宅だからといって過剰に危険視する必要はなくなったといえる。

■自分の体質を知ることも必要

ホルムアルデヒド以外にも、トルエンやキシレン、パラジクロロベンゼンなど、シックハウス症候群を引き起こすとされる化学物質はある。
また基準値以下の微量ホルムアルデヒドで発症してしまう人もいる。個人差が非常に大きいので、もともとアレル
ギー体質の人は、十分な警戒が必要。
そういう敏感な体質の人は、建築請負業者に、その心配のあることを伝え、化学物質をまったく含まない天然素材の材料を使うことを求めたり、ホルムアルデヒドがわずかでも含まれていると思われる建材には、採用前にまず触れてみる、といったテストをしておくことが必要だ。

二世帯住宅

親と暮らす「二世帯住宅」は、土地不足などのためにこれから増えてくると思われる居住形態。
プライバシーを確保し、楽しく暮らす知恵を工夫して、快適な住まいを考えよう。

■バリエーションが豊富に

「土地がある」「高齢になった親の心配もない」と言った理由で、二世帯住宅にするケースが増えている。賑やかに食卓を囲んだり、家事を助け合ったりと、二世帯住宅ならではの楽しさもある。
玄関から水まわりまで完全に別な「独立型」、玄関と浴室などを一緒に使う「一部共有型」、寝室以外すべてを共有する「同居型」の3つのタイプと、これらの中間的な形態もある。だが、ライフスタイルも生活時間帯も異なる二世帯が一緒に暮らすには、それなりの知恵と工夫が必要。
・独立性の確保
・二世帯が交流する際の、場所とスタイルの工夫
・二世帯分に必要な部屋数の確保
・二世帯分の収納スペースの確保
・高齢者世帯の暮らしの安全と将来対応
といったことがテーマになる。

■3階建てにはエレベーターを活用する

二世帯分のスペースと独立性を確保するには、3階建住宅が有効だ。とくに敷地の確保がむずかしい都心部によい。
確かに3階建ては上下階の移動が大変だが、出来るだけ縦移動を減らし、ホームエレベーター(EV)を設置することで楽になる(販売当初に比べ半額近くまで価格が下がっていて、導入しやすい)。これなら、親世帯に日当たりがよく、眺めもいい3階を提供でき、設計の幅が広がる。

防犯住宅

新興住宅地域で急増しているのが、ピッキングなどの犯罪。泥棒を防ぐための知恵を凝らした貴重な財産を守ってくれる「防犯住宅」について、簡単にまとめておこう。

■ポイントは窓の対策

住宅への侵入盗件数は最近急激に増え、検挙件数は減少している。犯罪も凶悪化しているので、住まいづくりに、防犯の視点は欠かせない。品確法にも取り入れられた。
過去の事件の分析から、泥棒が一番嫌がるのは、他人から見られることと侵入に時間がかかることだといわれる。近所の人に見られたり声をかけられたりした63%が侵入を諦めている。侵入に5分かかると7割近くが、10分では9割以上が諦めている(<財>都市防犯研究センター調べ)。
住宅の防犯ポイントは次の3つだ。
1 侵入の様子が道路や隣家から見られやすい
2 ガラスが丈夫で鍵が二重になっているなど、窓が破りにくい
3 道路が死角になるところにも、窓格子や警報装置などが付いている

■近隣との付き合いも大事

これは直接的な対策ではないが、住人がいつもきちんと挨拶し、ゴミも落ちていないような町の雰囲気も、泥棒を寄せ付けない力になる。
住むことに意識的な人は、当然、防犯にも意識が高い。泥棒はその雰囲気を直感して、よそに行ってしまう。
街並みの質を高め、泥棒が不安と緊張を感じるような、豊かなコミュニケーションのある開かれた街と住まいをつくることも、強力な防犯対策になる。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

地震と家の構造

1 地盤と基礎

●事前の地盤調査は必須
欠陥住宅といわれる原因のの一つに不同沈下がある。住宅を建てるときは、事前に地盤調査を行い、地盤に合った改良工事を行わなければならないが、これを怠った場合、沈下などの問題が発生しやすい。
不同沈下とは、地盤に建物が沈みこんでいくとき、均等に沈下しない現象を指す。品質確保促進法(品確法)では、基礎についての規定はないが、住宅の設計施工を行うときには地盤の状況を知った上で設計を行うことが前提になっているため、不同沈下が起きた場合は品確法の対象となる。
では、どの程度不同沈下が起こると瑕疵として認められるのか。基礎などのコンクリートの場合、0.5mm以上のクラックやひび割れが見つかったとき。また、床の傾きが5/1000以上のときも瑕疵が認められる。

●ベタ基礎の地固めはしっかりと
住宅の基礎には、布基礎とベタ基礎がある。布基礎は、建物の外周壁や内壁の下にひっくい壁状のコンクリート基礎を連続して設けたもので建物の荷重を線で受ける。ベタ基礎は建物の底全体に一定の厚みのコンクリート板を敷き詰めたもので、荷重を面で受け止める。ベタ基礎は軟弱地盤に強いとされるが、基礎そのものが重くなるため不同沈下を招くこともある。事前に地盤をしっかり突き固める必要がある。

2 木造住宅の耐震性アップのポイント

木造建築の耐震性を上げるにはさまざまな方法があるが、一部に耐震補強を行えばよいというものではなく、いろいろな方法を組み合わせて総合的に施すことが大切だ。

●構造材には乾燥した木を使う
構造材には、よく乾燥した木材を使うこと。構造材には、JAS規格で決められている「乾燥材」(水分含有率25%以下)を使うのがよいとされている。木材は、乾燥度合いが高ければ高いほど強度が増すが、木材に水分が多いとカビが発生して、それを栄養源にする腐朽菌が繁殖し強度を低下させるので注意しよう。

●金物で耐震・耐久建物に
補強金物や構造金物などの金物類は、柱や梁、土台、筋違などの接合部に使われるが、きちんと使えば木造の耐震性や耐久性を向上させることができる。補強金物は、木材に接合加工を施した仕口や継手が外力を受けたときにはずれないよう補強するために使われる。構造金物は、仕口や継手の加工をしないで、部材同士を結合するために使われる。
構造金物で最も使われるのがアンカーボルトで、基礎に埋め込んで土台と基礎を結合する。羽子板ボルトは、梁と桁(けた)などが直交する水平構造部材をつなぐもの。木材の収縮や振動などでナットが緩むことがあるが、これを防止するためにナットにスプリングを仕込んで木材が痩せても結合する力が弱くならないように工夫したものがある。
筋違金物は、筋違の端に取り付けて柱や土台、梁を結合するもので、筋違金物の使用によって構造体の強度低下を防ぐことができる。ボールダウン金物は、柱と基礎を直接結合する金物で、地震の縦揺れのときに土台や構造体が基礎から浮き上がったりずれるのを防ぐ効果がある。

●床の面剛性を高める
「剛性」とは部材の強度のことだが、床の面剛性が高ければ外力を受けても力を耐力壁に効率よく均等に伝えることができるので、耐震性が向上する。
床の面剛性を高める方法として最も使われるのは、構造用合板を床全体に敷き詰める方法だ。また、24mm以上ある厚い構造用合板を根太なしで張る「ネダレス工法」と呼ばれるものもある。いずれも、構造用合板は梁の上に渡した根太に張るのではなく、梁と上面を揃えるように梁を彫りこんで根太を取り付け、合板が受けた力が直接梁に伝わるようにしなければならない。

3 制震構造と免震構造

●2次被害を防ぐ制震&免震
制震や免震といった耐震構造の方法が話題になることが多くなったが、どのような効果があるのだろうか。最大の利点は、地震時に2次被害を防ぐこにある。建物が大きく揺れれば、家具や電化製品が飛び散り、命が危険にさらされることもある。建物に被害がなくても地震後の生活に支障をきたす。耐震設計だけでは、この2次被害を防ぐのはむずかしいとされ、制震や免震は建物そのものの揺れを少なくしてくれるため2次被害が起きにくいのである。

●地震エネルギーを吸収する安全装置
制震構造は、地震などの大きな外力が建物に加わったとき、構造体内部に組み込まれたエネルギー吸収装置が、地震エネルギーを分散・吸収し構造体に損傷を与えないようにするものだ。例えば、構造体の一部に自動車のショックアブソーバーのようなダンパーを組み込んで地震エネルギーを吸収する考え方や、外力が加わったときにエネルギーが一部に集中するよう構造設計を行い、その部分だけに損壊を起こさせてエネルギーを吸収する方法、地震のときの水平力と反対方向に構造体を振動させてエネルギーを消滅させるものなどがある。これらは、規模の大きい中高層の建物に採用されている。
免震構造は、地震による地盤の変動を建物に伝えにくくするもので、建物の基礎部分の下に滑り装置を付けて変動を逃がすしくみだ。この方法は、住宅など比較的小規模な構造体に向いている。免震構造には2つの方法がある。ひとつは「柔軟基礎構造」で、基礎と地盤の間に弾性の受けを設置して地盤の揺れを吸収する。もうひとつは、「機械的絶縁基礎」で、地盤の間にボールベアリングのような回転体を入れて揺れを逃がすものだ。ただ、免震構造は、地震の垂直の揺れにはほとんど効果がない。垂直の揺れを防ぐには、十分な耐震計算が必要だ。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

消費者保護へ

建設業者や不動産業者に「瑕疵担保責任」の資力確保を義務付けることによって、従来の法では守りきれなかった建て主の安心の家づくりを保証する法律です。

■新築の家の床が傾いているのに気づいたら?

幸せな休日が一転、大騒ぎに・・・・・。こんなもしものときに助けてくれる法律、それが「住宅瑕疵担保履行法」です。この法律によって、やっとの思いで手に入れた住宅に欠陥(このケースは床が傾いていた)が見つかった場合、建て主はその欠陥に対して必ず保証を受けることができるのです。前述の建て主は建設業者に対して「床が傾いている」という欠陥を申し立てれば、建設業者の責任で補修させることができます。保険の範囲内であれば、自己負担は一切必要ありません。
しかし、このような保証を受ける権利は現行の法律「品確法」で既に保障されています。では今回新たに制定された「住宅瑕疵担保履行法」は、一体何を定めた法律なのでしょうか?そして、この法律によってこれから家を建てる人にどのような影響があるのでしょうか?

■瑕疵担保責任の「資力確保」義務化

「住宅瑕疵担保履行法」は、現行の「住宅品質確保法」をさらに強化する目的で定められた法律です。とくに重要なのは、瑕疵担保責任の「資力確保」を義務化した点にあります。
「瑕疵担保責任」とは、購入した住宅に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に、建て主が追求できる損害賠償などの保障のことをいいます。売り手(住宅供給業者)側がこの瑕疵担保責任を「確実に」果たすために、住宅の受け渡しときに売り手側に「保険への加入」、または「保証金の積立て」を義務付けるというのが新法の内容です。
「保険への加入」は、国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人(指定保険法人)」との間で、瑕疵担保責任の履行に対して保険金を支払うという契約を締結するものです。「保証金の積立て」は、住宅供給業者が自らの費用で瑕疵の補修をすることを前提に、倒産等の場合に積立て金を還付して消費者への瑕疵担保責任を果たすのを助けるしくみです。(詳細は、国土交通省http://www.mlit.go.jp)。
そもそもこのような新法が定められたのは、平成17年に起きた構造計算書偽装事件に大きく関係しています。
新築住宅に欠陥が見つかったにもかかわらず、そのときには建設業者が既に倒産しており、建て主側は十分な保証を受けることができないという問題が発生しました。色鉛筆が転がる床に気づいたときには、建設業者が倒産していて、どこにも損害賠償を請求できないとしたらどんなに恐ろしいでしょう。そんな悲劇を二度と起こさないために施行されたのがこの新法です。

■建設費UPの不安も?

この法律が施行されるのは、2009年の10月(平成21年10月1日)からで、それ以降に引き渡される新築の住宅から新法が適用されます。
この保険料が、建て主の支払う建設費に上乗せされるという可能性が考えられるのです。また、新法の保証制度を受けるためには、従来よりも検査の回数が増えるので、工期が長くなることは避けられそうもありません。
安心の家づくりを助ける法律はできましたが、安心の代償として、従来よりも建設費用が高くなり、工期が長くなるということも受け入れる必要があります。施行されてみないとどんな問題が起こるか分かりません。常に新しい情報をチェックしながら、建設業者とよく相談の上、互いに内容について充分に納得した上で契約することが大切です。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

性能表示の概略

品確法の10の性能項目

1 構造の安定 自身や風などで力が加わったときの建物の強さ(壊れにくさ)に関すること。
等級3は、数百年に一度の稀な大地震でも倒壊しない
2 火災時の安全 火災が発生した場合の建物の燃えにくさなどに関すること。
等級3は火災警報装置を全室に設置。等級4はマンションを想定
3 劣化の軽減 建物の劣化(木材の腐朽、鉄のさびなど)のしにくさに関すること。
等級3なら75~90年大規模な補修なし
4 維持管理への配慮 配管などの日常的な維持管理(点検、清掃、修繕)のしやすさに関すること。
等級3で、メンテナンスが特に簡単
5 温熱環境 防暑、防寒など、冷暖房時の省エネルギーに関連すること。
等級4で、「次世代省エネ基準」並の断熱・気密性
6 空気環境 ホルムアルデヒドの影響の排除など、室内の空気の清浄さに関すること。
最高等級が安心
7 光・視環境 採光などの視覚に関すること。開口部の割合を表示
8 音環境
<選択項目>
騒音の防止などの聴覚に関連すること。防音サッシは等級3~2
9 高齢者等への配慮 加齢等に伴う身体機能の低下に配慮した移動のしやすさや転落、転倒などの事故の防止に関すること。
等級5なら、100%車いすで生活可能
10 防犯に関すること
(開口部への進入防止対策)
侵入犯にとくに狙われやすい窓や玄関ドアなどの開口部を中心に防犯対策を評価するもの。
等級ではなく、「防犯建物部品」の使用などを評価。平成18年4月1日より適用

Crime Prevention(防犯)の頭文字をとったCPマークが目印で、「CP部品」とも呼ばれる。警察庁とと国土交通省、経済産業省、建物部品関連の民間団体が組織する官民合同会議が認定基準を定め、厳しい防犯性能試験を行っている。

品確法では合計4回の現場検査がある

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

設計編

1 間取りをつくるのはなく空間を

私たちはDKやLDKという、日本の住宅事情から考案された「苦肉の策」に、縛られている。家は部屋や間取りを考える前に、どのくらいの「空間」をどんな用途に使おうか、と考えよう。それがゾーニングだ。パブリック、プライベートなどの空間、さらに水まわり、調理室、食事室とゾーニングをしていく。その際、表動線と裏動線を交差させないようにする。

2 外観のデザインは町並みとの調和を意識して

建物の外観も家づくりの重要なポイントだ。周りの修景にミスマッチする色使いは避ける。とくに最近はまちづくりや街並みについての意識が高まっている。また、エクステリアはどうするかも大事。
植栽などは、住まいの快適性や防犯性にも配慮した計画にしたい。
建物の位置や外構は、敷地の道路との接し方によって決まってくる。日当たりを確保したり、隣家からの視線を遮るなど、外構や植栽に工夫する。

3 日本の伝統に学ぶ

土間や縁側など、かつての日本の家には必ずあったものが絶えている。玄関で隣の奥さんと長時間の立ち話、では、相手にも悪い。お茶も出せない。そんなとき、家の外でも中でもないという、縁側の曖昧さが重宝する。テラスやデッキのようなものでもよい。また、風雨を避けるが家の中ではない、土間のような空間があると、なにかと重宝する。収納場所や作業場所によいだけでなく、わが家ならではの利用法を工夫してみるのもよい。むかしからの知恵を現代風にアレンジする。

4 水まわりは第2のリビング

浴室、トイレ、洗面所、かつては「裏方」だった水まわりが、今や第2のリビングといわれる。快適なくつろぎ空間として見直され、メーカーからは豪華なユニットが毎年発売されている。面積の割り当てで、どうしてもどこかを狭くしなければならない時、この水まわりが犠牲になってきた。今では逆で、十分な広さを最優先して確保したい。設計ポイントに注意して、将来を考えた計画が必須である。

5 キッチン設計のポイント

主婦の第1の関心はキッチン。徹底的に使いやすさを追求しよう。高さは身長にあわせて調節する。
十分な広さが必要だが、できるだけ移動距離の短い広さがよい。さらに、明るさや収納など、チェックポイントは多い。40年くらい前までは、洗う→刻む→煮る、の順に配列するのがよいとされてきたが、シンクが中央にあるほうが、主婦の動きが少なくて済むようである。

6 リビングは応接間ではない

せっかく立派なリビングルームをつくったのに、ほとんど利用されないケースが見受けられる。概して日本人はリビングの使い方が下手だ。家族が集まる団らんの場にしたいが、子供も成長すると寄りつかなくなる。どう解決するか。玄関からそれぞれの部屋に行くのに、リビングを通るようなゾーニングにする、家族の動きや気配をつねに感じられる設計にする、テラスデッキとリビングをつなぐ、子供が幼いうちは、寝室は2階に、勉強やゲームはリビングの一角で、など工夫次第で有効活用が図れる。

7 収納やフリースペースなど自由な空間を楽しむ

家の中に、多用途に使える自由な空間を持ちたいもの。地下室や屋根裏を使う、土間をつくってリビングとつなぐ、などファミリーコモンのスペースをつくろう。収納も設計の段階でビルトインしたい。

8 二世帯住宅は知恵と工夫を生かして

利点と注意点をしっかり把握することが、まず大事なこと。そのうえで、どこまでを共有して、どこからを独立させるかの計画をする。プライバシーを重視しすぎて、将来介護に不便になったり、あるいは逆のケースなども考えられる点に注意。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

わが家でできる「環境共生」

「環境共生」という言葉から受けるイメージは、とても大がかりなものだが、実際に家庭でできることも少なくない。家づくりの機会に、できるものから始めてみてはどうだろうか。

●雨水の利用

日本の年平均降水量は、1718mm。世界の平均降水量970mmの約2倍だ。雨の多い国といえる。しかし、人口が多いので、1人あたりに換算すると、この降水量も世界平均の4分の1程度まで下がってしまう。
最近の異常気象傾向によって、年によっては極端な小雨になったり、また、舗装化が進んだことで、雨水が地中に浸透せず、一気に川から海へと流れ込んでしまうという傾向も見過ごせない。
さらに、雨が多い国であることから、伝統的に日本人の水の使い方は贅沢だ。こうしたことから、それなりの降水量はあっても、水の管理や使い方には慎重な配慮が必要になっているといえる。
そこで考えたいのが雨水の再利用だ。これは複雑な設備がいらず、すぐに取り組める手軽さもある。
基本的には屋根から雨樋を伝わって地面に流される水を途中で貯水槽に溜め、濾過して使うもの。
用途は、トイレ、庭への水まきや洗車などだ。飲料水として利用するだけの水質は、家庭の濾過程度では確保できない。また、最近は酸性雨の問題から、トイレや洗濯への利用によって設備機器の耐久性を下げる可能性も指摘されている。散水や掃除用水としての利用にとどめた方が安心できるだろう。

●生ゴミ処理

ディスポーザー
ディスポーザーは、家庭で生ゴミを細かく粉砕して排水管に下水として流し出すもの。米国生まれの設備で、米国では普及率が50%を超えている。生ゴミをそのままシンクから流せば、機械が粉砕し排水として処理してくれるもので、非常にラク。しかしその反面、非常に細かいとはいえ、下水管に生ゴミが流れるので、堆積物ができたり、下水処理場の負担が増すなどの理由から、自治体によっては使用を禁じたり、自粛を求めるところもある。
マンションなどで、各家庭のディスポーザーからの排水を2次的に一括処理し、それを下水に流し込むものもあり、このタイプであれば、下水管や処理場への負担はない。

コンポスト化
家庭で出た生ゴミを、堆肥(コンポスト)にしてゴミを減らすのが、この方法。微生物の自然分解作用だけを利用する貯蔵型のコンポスターと、電気で撹拌して発酵を促進する電動型の2種類がある。貯蔵型は、数千円程度からあって手軽だが、自然分解のために数ヶ月放置する必要があるなど、時間がかかる。
反対に、電動型は、家庭用で1日あたり1kg程度の処理能力がある(家庭なら出される生ゴミの平均量は1kg程度)。

●風力発電

風力発電を行うためには、風速にして8~12m/秒の風がコンスタントに必要となり、装置さえあればどこでも発電できるというものではない。また、発電効率もそれほど高いものではなく、10m/秒の風で70~80wの発電量といったところだ。
住宅での利用は、門灯や庭園灯、あるいは補助電源用といったところにとどまり、メインの電源装置として考えることはできない。

●地中熱利用

地熱発電という大がかりな設備とは別に、地中の温度が一定であることを利用した冷暖房の補助設備がある。
地中が、冬暖かく夏涼しいことはよく知られている。実際、地表面から3mほどのところでは、地中の温度は年間を通して約15度で安定している(深さ5mになると完全に一定になる)。
そこで、この性質を利用。外気をいったん地中に埋めたパイプに通して室内に取り込めば、夏は地中で冷やされた外気が、冬は同じく地中で暖められた外気が室内に入ることになり、冷暖房の効率が上がる。
まだ住宅用設備として一般的になっていないが、複雑な機械を必要としないものであり、これからの普及に注目したい設備だ。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

健康・安全編

1 自然と共存する家は可能か?

日本は高温多湿の国だ。むかしから日本の家屋は、床を高くして、湿気がこもらないようにしたり、開口部を大きくとって風の通り道をつくるなど、先人の知恵が生かされたつくりになっていた。内装材も自然の素材で、湿気を調節する役目を担っていた。では、現代の住宅はどうか。敷地も狭く、家が密集して風も通らない。日照権の問題が時折新聞をにぎわすほどだ。日差しの確保もままならない。密閉した住宅に住まうことから、さまざまな問題も指摘されている。健康で安全、快適な住まいにするために、現代の住宅にはどんな知恵や工夫が必要なのかを考えながら、自然と共存する家づくりの方法を探る。

2 有害化学物質対策

現代の住宅の特長をひと言で表すと、高気密・高断熱の家ということになる。言い換えると、空気の流れない家でもある。新建材や内装材、接着剤などから発散する有害化学物質は、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因とされ、大きな社会問題になっている。室内空気汚染とその対策は、きわめて現代的な住宅問題だ。
背景には、高度経済成長による都市部への人口の加速度的集中がある。昭和35年頃から住宅の供給は焦眉の急の課題となり、各地に団地が林立した。しかし、自然素材の建材は生産にも輸入にも限界がある。新建材はこのような中で生まれた。防音性や難燃性が追及され、化学物質の有害性についての法の規制はなかったといってもいい。
平成12年の建築基準法改正で、ようやく室内空気汚染にメスが入れられ、有害化学物質を含む建材、内装材、接着材、断熱材などは、大幅に使用規制を受ける。住まいの環境が大きく改善されたことは間違いない。だが、家具などに使用する接着剤に含まれる有害物質については、規制の対象外だし、室内で多くの人が呼吸するだけでも二酸化炭素が充満することを忘れてはならない。風と空気が流れる家は、家づくりの基本だ。

3 断熱と省エネの話

高気密・高断熱の家とは、熱を遮断し、空気の流れを遮断する魔法瓶のような家ということになる。
日本の家づくりの、ここ十数年の流れをみるかぎり、高気密・高断熱は冷暖房効率がよく省エネだ、という考え方で推移してきた。次世代省エネ基準も同様。しかし、省エネとは何か、考え直す時代になっている。冷暖房が少なくても快適な室温を保つ工夫をするのも省エネだし、熱源を安くしたり、太陽光や風力を利用するのも省エネだ。これからは、木材やリサイクル材の調湿機能を利用したり、植栽で夏の強い日差しを遮り、冬のやわらかな日差しをとるなど、自然を利用した「呼吸する」家づくりをしたいもの。

4 バリアフリーは住宅の基本仕様

バリアフリーの考えは、ここ数年で急速に進んだ。住まいはユニバーサルデザインにするのが主流になりつつある。段差の解消、手すりの設置、廊下の幅、浴室の広さなど、ローンの際に、低金利や割増融資が適用される条件は、クリアしておきたい。ハードを整備したうえで、これからはソフトを考える時代。高齢者のライフスタイルは?生きがいは?話し相手や遊び相手はいる?など。例えば、お風呂。高齢者が入浴するのは、大変なエネルギーが要るので、なかなか入らなくなる。しかし、週1回でもデイホームに行くとなれば、お風呂にも入るようになる。大事なのは設備を整えることではなく、それを利用する生活を考えてあげることだ。

5 防犯のためのコストも忘れずに

泥棒や空き巣の被害が急増している。立地条件や周辺の状況にもよるが、「泥棒に狙われない家」は、人目につきやすく、侵入に手間がかかる家だ。さらに、開口部はすべて防犯仕様とする。センサーライトや防犯カメラを設置し、備えが万全な家であると思わせる。防犯機能は、今や住宅の基本性能になっている。新築の際は、防犯のためのコストも忘れずに計画する。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

材料・設備編

1 木をよく知り、適材適所に使おう

住宅の材料で、最も多く使われるのが、木材。木の性質をよく知っておこう。一般に、土台はヒノキ、柱はスギ、梁はマツ、などが知られるが、地方の気候風土によっても異なる。また、すべての部位を原木にするのはコスト高。部位によっては木質建材で十分なので、集成材や合板を効果的に使おう。

2 屋根と外壁で家のイメージは決まる

外壁は風雨や暑さ寒さ、騒音などから家を守る。耐候性、耐水性、遮音性、断熱性、耐久性など、多くの性能が求められる。少し前まではモルタル吹き付け仕上げが一般的だったが、最近ではサイディングボード張りも最近は人気。家のイメージが決まってくるだけに、化粧スタイルやストーンのテクスチャーを貼り付けたものなど、じつに多彩。コスト面とデザイン面のバランスをとりたい。一方、屋根材はそれほどのバリエーションはなく、瓦かストレートが多い。形状は、気候風土にもよるが、切妻か方形、あるいは陸屋根が一般的。屋根と外壁は、デザイン的なバランスに配慮して、形状・材質を選びたい。

3 内部仕上げ材選びのポイント

床材では、フローリングが人気だ。ほとんどが複合フローリングだが、種類も多い。特長を知って目的にあったものを選ぶ。カーペットはダニが付きやすいので敬遠されるが、肌ざわりのよさは捨てがたい。防ダニ加工がしてあって、洗浄できるものがよい。タイルは浴室だけでなく、壁や床などに効果的に使う。とくにコルクタイルは、自然素材で足腰への負担も軽く、キッチンには最適。最も大きな面積を占める壁の壁装材は、汚れやすい場所には汚れを拭き取りやすい素材を選ぶのが基本。

4 開口部の材料は目的に合わせて選ぶ

サッシはアルミが主流だが、木製とアルミ製を組み合わせたインテリア性の高い商品も登場している。
ガラスは、遮光性・断熱性・防音性・気密性など、用途に応じた種類のものを選ぶようにする。とくに防犯ガラスは、レベル3以上のものを選びたい。ただし、すべての場所を防犯仕様にする必要はない。
周辺条件や建物の配置などを考慮して、侵入をあきらめさせる構えにすることが大事。

5 キッチンは「火気を使用する室」ではなくなる?

40年前、日本の住宅革命はキッチンから始まった。人研ぎ(じんとぎ)と言われたコンクリート製の流し台は、もはや知らない人のほうが多いだろう。最近のキッチンユニットは、主婦がワクワクするような豪華さだ。ただし、高さ調節は忘れずに。また、左右の幅が長すぎても、ムダな動きを要する。
キッチンを快適な部屋にするためには、明かり取りや風通しのための開口部も重要。ガスレンジの周囲は不燃材料で覆い、または拭き取りやすい素材にするのが常識だったが、火が出ず、燃焼ガスも発生しないIHクッキングヒーターの登場で、時代は大きく変わるかもしれない。

6 これからの住宅設備を考える

キッチン、トイレ、洗面所、浴室など水まわりの給湯(暖房・乾燥を含む)設備は、大きく様変わりしている。もともと日本の電気は、明かりのための熱源として立ち上がったため、100Vが当たり前のことと思っていた。だが、200Vにすれば、電気は調理や給湯のための熱源としても使える。年々、新築の際にオール電化にする家も増えている。一方で、“煮る・焼く”は電気でいいが、高火力で一気に調理する“炒める”はガスでないとダメという人もいる。しばらくは、いろいろな熱源が併用される時代が続くと思われるが、オール電化にしなくても、『200V単相三線式にする』、『漏電遮断器を設置する』、の2点は新築の際にぜひやっておきたい。また、住宅設備は、家の「付属品」ではなく、反対に、家が住宅設備の「容れ物」だ、くらいの考えをもとう。家は、将来住宅設備を変更する場合を考慮した構造躯体にすることが必要だからだ。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

実践 失敗しない住まい創り 2

実践 失敗しない住まい創り 2

失敗しなし施工業者選びとは?

誠に当たり前の話ですが、ずばり住環環境知識と施工技術力のある業者に依頼することがの最も肝心です。
建築元請業者がしっかりしていても下請け業者が正確な施工法を理解してないようでは意味がありません。
元請け会社と下請け会社(職人)が一体感のある業者でなくはならない。
大手だから安心できるとか、ハウスメーカーだから安全だとかは、まったく関係ありません。むしろ、地元密着型の工務店の方が、責任感、安心感のある場合が多いのが現実です。

実践 失敗しない住まい創り 3

失敗しない設計者選びとは?

設計は建築会社又は設計事務所のいずれかに依頼することになりますが、まず、担当設計者が他人の力を借りずにひとりでプランニング提案をできるかが一つのポイント。
これから大事な家を設計してもうのに人任せな設計者は絶対ダメ。 第一段階は施主の要望を瞬時にどう理解しまとめられるかが、設計を今後任すことができるかの、経験値としての目安になる。
ラフプランニングからイメージパース、概略構造、模型等、まずは全てひとりの設計者が行うことによってしっかりしたコンセプトも確立される。
特に模型造りは他人まかせでなく、自分の手でつくることは大変意義があり、建物耐力的な強弱も見えてくる。
短時間で設計する場合、施主の要望が反映しきれない時もあるが、最低限一人でまとめきれなくては、実施設計を任せることはできない。
また、建て主と設計者は相性がかなり左右すると思います。 施主の要望をどう理解し表現でき、お互いが共有、共生できるかが重要になります。少なくとも50年以上は建築物は存続することになるので、設計者にとっては重大な責任があります。
納得するプランを決定するまでは、色々な角度で何度も何度も検討することは大切であり、工事中でも、検討課題や、よりよい案はいくらでも出来る場合があります。建て主は、設計者や施工業者任せは絶対避けるべきです。自分の家です。実績や見せかけで任してはいけません。
建築パートナーとして一生つきあっていけるかが、よい家をつくるポイントになると私はいつも感じます。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)

実践 失敗しない住まい創り 1

1.まずは家づくりの流れをつかむ!

(設計から建物完成までは約1年近くかかる)
何事も順序があります。家づくりに関する全体のプロセスを把握することによって、心に余裕ができ不安感は薄れます。
家づくりはけっして難しものではありません。

2.図面を読みとることによって家がみえてくる。

絶対に業者任せはいけません。少しでも図面を読みとることによって自分の家が観えてきます。
せっかく理想の家を建てる機会なので、楽しく勉強しましょう。完成時には建築士の免許が取れるくらいの知識があればいいなと思います。
以前、私が請けた施主様の中で、本当にに2級建築士に合格された方がいます。

3.住宅の基本性能を知ることによって完成度が上がる。

住宅性能表示が全てとは言いませんが、建築レベルのものさしとしては、現在一番、信頼性があります。せめてこの性能レベルはクリアしたいものです。ちなみに、1.構造の安定、2.火災時の安全、3.劣化の軽減、4.維持管理への配慮、5.温熱環境、6.空気環境、7光、視環境
8.音環境 9.高齢者への配慮、10防犯への配慮といった、最低限の基準を考慮しなくてはよい家とは言えないでしょう。

4 本当に健康的な家を造るためにすることとは?

ずばり、高温多湿、日本の風土の弱点をカバーできる家。断熱と換気をしっかり計画された家と自然素材にあふれた家でないでしょうか。
しかし、この単純明快なことがなされていないのです。日進月歩、工法は向上していますが現場で浸透されていないケースが多いのが現状です。要は、工法そのものが良くても施工方法に誤りがあれば、まったくが意味がありません。
こういったことを考慮すると、やはり工法をしっかり理解されている業者を選定するのが重要課題です。

5.結露のしない家をつくるにはどうしたらよいか?

前項とダブリますが、まさしく通気性のよい家造りです。
ひとえに通気性のある家といっても色々なやり方、工法がありますので、一概に言えませんが理に適ったよい方法は何通りかあります。

6 シロアリの被害を防止する建物とは?

シロアリ被害は本当にいやものです。何としても防止したいものです。
防止方法は多種多様ですのでよく理解して納得して選定すべきだと思います。
例として、材木の品種、防蟻処理、特殊塗料、液体ガラス塗料(東大教授研究)等、その他通気工法等、色々な防蟻方法があります。
正直のところ、あくまでも防蟻であって、絶対寄り付かないという絶対保証はありません。(せいぜい10年保証でしょう)
絶対安心と言い切っている工法もありますが、施工方法や立地条件にも左右される場合がありますので何ともいえないのが現状でしょう。

引用:「家づくりの基礎知識」(監修:中村義平二 発行:建築資料研究社)